こいわずらい

現実と空想の狭間に視える景色

NEXT STEP"旅立つ"ということ

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2017年3月3日に放送されたAqours浦の星女学院生放送にて、4月5日リリースの新曲『HAPPY PATTY TRAIN』の視聴動画がついに公開された。

明るく勝気な果南がセンター、さらにタイトルが推してくる楽しげな雰囲気。おそらく誰もが、ライブで盛り上がる系のアッパーチューンを予想していただろう。

しかし、公開されたのは、私たちの全く予想だにしていなかった一曲だった。
ピアノイントロの切なさ。物憂げな果南の表情。秋めいた景色。廃墟めいた雰囲気を漂わせる豊後森。それぞれのソロ歌唱のみで構成されたAメロBメロ。ドラマシーンに至っては他のメンバーとの交流すら一切描かれていない。
HAPPY PARTY TRAINは寂しさを演出することに全てを尽くしていた。

そして忘れてはいけない事実がひとつ。
この曲はAqoursのNext STEP projectの記念するべき第一曲目だということ。

なぜ、このような曲が、彼女たちの晴れの舞台、1から先への道のりに示されたのだろうか。
そんな疑問について考えたとき、ふとあるひとつの解答を思いついた。
"NEXT STEP"つまり旅立つということは、希望であると同時に、郷愁の象徴でもある。
旅立つということは自らの居場所を離れるということ。
彼女たちにとっての1歩目の先とは、沼津から日本、そして世界へと踏み出していくこと。自分たちも相手も、互いに互いのことを知らない外へと飛び出すことが旅立つということだ。
思えば、Aqoursの曲というのは内側について歌っているものがほとんどだった。「夢で夜空を照らしたい」はまさにその最たる例であった。Aqoursというアイドルは自分たちのことを歌うことによって、間接的に外へと影響を与えていたが、実質は内へ内へと歌い続けていたと考えられる。
けれど、内側に向かっているだけではいつか限界にたどり着いてしまう。他者に自分のことを伝えるには、自分を他者にとっての知らない存在、ストレンジャーにする必要があるのだ。

0から1への一歩という言葉も、もしかしたら内側と外側を表しているのかもしれない。
0から1へ向かう途中とは、内側で歩き続けること。
1から次のステップとは外側への、知らない世界への一歩。

NEXT STEP PROJECTの先に待っている外の世界。
『HAPPY PARTY TRAIN』は明確に外へ向かって歩み始めた曲だ。

Aqoursはこれから旅に出る。
彼女たちは自らを誰かにとってのストレンジャーに敢えて落としこもうとしている。
それは内側だけで済んでいたこれまでとは全く違う、厳しい世界に挑戦すること。
「はじまりとさよならを繰り返して」
彼女たちは確かな一歩をどこまでも歩み続けていく。